活動

活動方針

 岩手県小学校長会は、昭和38年結成以来、本県小学校教育の振興発展に寄与すべく、絶えず真摯な研鑽と実践を重ねるとともに、会の総力を挙げて教育諸条件の整備に努めてきた。この半世紀以上にわたる間、幾多の困難に直面しながらも、その課題解決に主体的に取り組み、多くの成果を着実に上げ今日に至っている。
 令和2年3月の一斉休校からはじまった新型コロナウィルス感染症への対応は、これまで日常的に行っていた教育活動が制限されることとなった。しかし、学校においては、児童の教育を受ける権利を保障するため、感染及びその拡大のリスクを可能な限り低減し、全面実施となった小学校学習指導要領の趣旨にそった子どもの学びを展開するよう、これまで岩手の教育で培ってきた優れた実践を継承しながら、工夫・創造して取り組んできた。
 一方、我が国は、グローバル化の進展や少子高齢化が進行するとともに、超スマート社会を迎えるなど、先を見通すことが難しい時代となり、学校には子どもたちに新しい時代に必要となる資質・能力を育むことや、「社会に開かれた教育課程」を実現することが求められている。

 また、子どもたちをめぐるいじめや学校不適応問題の解消、情報モラル教育の強化などの諸問題、教員の働き方改革の推進や資質能力の向上等、直面する重要な教育課題が山積している。 

 東日本大震災の発災から10年の年月が経過し、「いわての復興教育」が岩手の教育に根付き郷土を愛し岩手の未来を創造していく「ひとづくり」の取組が進むとともに、教育環境の改善が図られてきた。しかし沿岸被災地区においては、子どもたちの心のケアや地域コミュニティ確立の困難さなどに伴う保護者支援や地域との連携など、長期的に対応が必要な課題が生じている。
 このようなことから、私たち校長は、岩手県教育振興計画に基づき、子どもたちが人間形成と自己実現に向けて、知・徳・体の調和のとれた「生きる力」を身に付ける学びを実践する必要がある。そのため、明確な達成目標を掲げ、学校組織の活性化を図り、創意に満ちた特色ある学校経営を推進していかなければならない。

 岩手県小学校長会は、こうした現状を深く認識し、「明日を拓く岩手の絆」を会員の総意とし学習指導要領の趣旨や本県の現状と課題を十分認識するとともに、教育の復興に向け東日本大震災を通して学んだ校長の決断の重さを忘れることなく、校長自らの使命を自覚し、教育的識見を高め合う必要がある。
 また全国連合小学校長会や東北連合小学校長会との連携を密にするとともに、教育活動の一層の充実と向上のため、会員相互の情報共有を図り、英知と情熱を結集し、経営ビジョンや戦略を明確にもち、強いリーダーシップを発揮して、家庭や地域の信頼と期待に応えていかなければならない。

 そのため、今年度の本会の活動方針を以下のとおり定める。

                          

1 創意に満ちた特色ある学校経営の充実                   

  国や県の教育改革の動向や新学習指導要領の趣旨、復興教育の方向性を的確に把握し、家庭・地域社会と連携を密にしながら、確かな経営理念のもと、「生きる力」を育み社会に開かれた教育課程の編成と着実な実施、評価、改善を行い、より一層創意に満ちた学校経営の充実に努める。

2 教育の復興に向けた支援                         

  東日本大震災対策特別委員会の設置を継続し、被災地区の学校運営上の諸課題を的確に把握するとともに、震災後10年の経過を振り返るなど計画的に情報共有する。また震災の教訓を未来に語り継ぐ活動として本会著作の「紙芝居」や「資料集」等の効果的な活用を図る。

3 専門職としての識見、力量の向上                     

  各学校における教職員の年齢構成が変化しつつある実情を踏まえ、校長としての識見や指導性を高めるための研鑽に自ら励む。また、校長会の主題である「郷土を愛し 主体的・協働的に学び 夢と未来を拓く子どもを育てる学校経営」の実現に向け調査研究等を行い、校長の役割を明確にするとともに、学校経営の充実に向けた取組を推進する。

4 人間尊重の精神に基づく教育の推進              

  自他の命を大切にし、共に生きる心の育成を目指し、人間尊重の精神に基づく深い子ども理解に努める。また、家庭や地域社会及び専門機関との連携を図りながら、子どもたちの心のケアやいじめ・不登校問題への適切な対応、校内体制の整備、充実、情報モラル教育の強化を図る。さらに、特別支援教育の充実を図り、一人一人の自己実現を目指す教育を推進する。

5 教育諸条件の改善に向けた取組の促進                   

  喫緊の課題である新型コロナウィルス感染症にかかる対応や学校における働き方改革、ICT化の推進など、教育課題に関わる情報の共有に努める。また、家庭や地域社会、関係諸機関、関係諸団体との連携を密にしながら、安定した学校生活と質の高い教育を子どもたちに保障するため、人的措置の充実等教育諸条件の改善・整備への取組を促進する。

6 広報活動の充実と会員相互の連携強化                   

  東日本大震災後10年が経過することから、これまでの取組をまとめその成果を記録として残し周知するとともに、地区校長会との連携を密にし、新たな教育課題にかかる実践の交流など、広報活動の一層の充実に努める。また、全国連合小学校長会、東北連合小学校長会との連携を重視し、研究大会・調査活動等に積極的に参加・協力する。

 

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